リスクリワード(Risk Reward Ratio)とは、1回のトレードにおいて許容する損失(リスク)と、狙う利益(リワード)の比率のこと。損切り幅と利確幅をどのような割合で設定するかを表す指標で、トレードの期待値を設計するための基本的な概念だ。
「リスクリワード2:1」であれば、損切り幅に対して利確幅が2倍に設定されているという意味になる。
リスクリワード2:1とはどういうことか

USD/JPYで「損切り20pips・利確40pipsのトレード」を考えてみよう。
- 損切りライン:エントリー価格から20pips不利な方向
- 利確ライン:エントリー価格から40pips有利な方向
この場合、リスクリワードは 1:2(または「2:1」とも表現される)。負けたときに20pips分の損失、勝ったときに40pips分の利益が発生する設計だ。
0.1ロット(1万通貨)で取引していれば:
- 損切り時の損失:20pips × 100円 = 2,000円
- 利確時の利益:40pips × 100円 = 4,000円
たとえ勝率が50%でも、10回トレードすれば5勝5敗。利益合計20,000円、損失合計10,000円で、差し引き10,000円のプラスになる。
計算式と計算方法
リスクリワードは次の式で計算できる。
リスクリワード = 狙う利益(リワード) ÷ 許容する損失(リスク)
pipsで計算する場合
リスクリワード = 利確幅(pips) ÷ 損切り幅(pips)
- 損切り25pips・利確50pips → 50 ÷ 25 = 2.0
- 損切り30pips・利確45pips → 45 ÷ 30 = 1.5
- 損切り20pips・利確30pips → 30 ÷ 20 = 1.5
金額で計算する場合
リスクリワード = 利確時の利益額(円) ÷ 損切り時の損失額(円)
ロット数が同じであれば、pipsで計算しても金額で計算しても同じ比率になる。
エントリー価格・損切り価格・利確価格から計算する場合
実際のトレードでは、チャート上の価格から直接計算できる。
例:USD/JPY買いポジション
- エントリー価格:150.00
- 損切り価格:149.70(30pips下)
- 利確価格:150.90(90pips上)
リスクリワード = 90pips ÷ 30pips = 3.0
リスクリワードと勝率の関係
リスクリワードを理解する上で重要なのは、勝率だけで収支は決まらないという事実だ。
| リスクリワード | 損益がプラスになるために必要な最低勝率 |
|---|---|
| 1:1 | 50%以上 |
| 1.5:1 | 40%以上 |
| 2:1 | 34%以上 |
| 3:1 | 25%以上 |

リスクリワードが2:1であれば、3回に1回勝てれば収支はプラスになる計算だ。反対に、リスクリワードが1:1未満(損切り幅より利確幅が小さい設定)の場合は、勝率が50%を大きく超えないと収支がマイナスになる。
多くのトレーダーが「勝率を上げること」に注目しがちだが、リスクリワードの設計によっては勝率が低くても継続的に利益を出せる。この関係の詳細は「リスクリワードとは何か」で扱っている。
設計値と実現値のズレ
注意しておきたいのは、設計したリスクリワードと実際に実現するリスクリワードは一致しないことが多いという点だ。
たとえばリスクリワード2:1で設計していても
- 含み益が出ている段階で「もう十分」と早めに利確してしまう
- 含み損が出ている段階で「もう少し待てば戻るかも」と損切りを引き延ばす
この2つの行動が重なると、実際の利確幅は小さく・損切り幅は大きくなり、実現リスクリワードが設計値を大きく下回る。
この現象は損失回避バイアスとFOMOが交互に作用した結果として生まれやすい(「損失回避バイアス」・「FOMO」参照)。設計段階でリスクリワードを高めに設定しておくことが、実現値のズレを吸収する余裕を作ることになる。

リスクリワードの目安
実務上よく使われる目安を示す。ただしこれは絶対的な基準ではなく、トレードスタイル・通貨ペア・時間足によって適切な値は異なる。
| リスクリワード | 用途の目安 |
|---|---|
| 1:1未満 | スキャルピングなど高勝率を前提とした短期取引。維持が難しい |
| 1:1 | 最低限の基準。コストを考えると実質マイナスになりやすい |
| 1.5:1〜2:1 | 多くのトレーダーが目安にする標準的な範囲 |
| 2:1以上 | スイングトレードや長期保有で狙いやすい水準 |
| 3:1以上 | 大きな値動きを狙うトレードで設定。実現難易度が上がる |
スプレッドはエントリー時に必ず発生するコストのため、リスクリワードの計算にスプレッドを含めて考えることが現実的な精度につながる。
覚えておきたいこと
リスクリワードとは、「1回のトレードで何を賭け、何を狙うか」の設計図だ。
- リスクリワード=利確幅(pips)÷ 損切り幅(pips)
- リスクリワードが高いほど、低い勝率でも収支がプラスになりやすい
- 設計値と実現値にはズレが生じやすい。損失回避バイアスへの対策が必要
- スプレッドをコストとして含めた計算が現実に近い
- リスクリワードは「エントリー前」に決める。入った後に変更すると本来の意味を失う
リスクリワードはエントリー後に調整するものではなく、エントリー前の計画の一部として設計するものだ。
FAQ
- Qリスクリワードはどのタイミングで計算するのか?
- A
エントリー前。損切りラインと利確ラインを決めてから計算する。エントリーした後にリスクリワードを計算するのは、計画外の判断が入っている可能性が高い。順序として「損切りライン→利確ライン→リスクリワードを確認→エントリー判断」が正しい。
- Qリスクリワードが高ければ高いほどよいのか?
- A
必ずしもそうではない。リスクリワードが3:1であっても、利確ラインが現実的ではない価格に設定されていれば、実現することなく損切りになる確率が高くなる。高いリスクリワードを設定することと、それが実現できる根拠があることは別の話だ。
- Qリスクリワードとロット数の関係は?
- A
直接の関係はない。リスクリワードはpipsの比率で計算されるため、ロット数が変わっても比率は変わらない。ただし許容する損失額(円)はロット数によって変わるため、ロット数はリスクリワードとは別に、口座残高に対する損失率から決める(「ロット」参照)。
- Q損切りを動かしてリスクリワードを改善してよいか?
- A
損切りを有利な方向(エントリー価格に近い方向)に動かすことは避けるべきだ。それはリスクを増やすことになり、本来の計画を壊す。利確を遠ざける方向に調整することは場合によって有効だが、相場の根拠がある場合に限る。「感情から損切りを動かす」ことがリスクリワードを崩す最大の原因になる。
- Qスプレッドはリスクリワードの計算に含めるべきか?
- A
含めたほうが現実に近い。たとえば損切り20pips・利確40pips・スプレッド0.3pipsの場合、実質的な損失は20.3pips、利益は39.7pips。リスクリワードは39.7÷20.3≈1.96となり、名目の2.0よりわずかに低くなる。スキャルピングのような小さな値幅を狙う取引では、スプレッドの影響が相対的に大きくなる。
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記事番号:GL-032 カテゴリ:/glossary/ 関連カテゴリ:リスク・資金管理系



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